Message from President
2006年
(平成18年度)のEducation Reform
日本音楽学校長
小林 志郎
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今年度は制度や教育課程上のリフォームを新たに導入しない。基本的にはこれまでのリフォームを堅持しつつ、基礎を固め、改善の成果や問題を点検することになろう。しかしながら本年度は新しい事業、改変された上で継続される事業がいくつかある。何よりも大きなプログラムは「芸術セラピー」関係10単位の開設である。
すでに今学期から「芸術セラピー」関係10単位のうち、「芸術セラピー概論」と「臨床医学概論・心と体の医学」が開設されている。そして7月下旬には「美術セラピー・ワークショップ」が集中授業の形式で行われる。授業日程と細則は以下の通りである。
期間 7月24日(月)から7月27日(木)まで
担当講師 Dr. Susan Hogan University of Derby 准教授
時間 9:00 ― 12:00
13:00 ― 17:00
授業形式: ワークショップ形式
受講生数: 50人を越えないこと。
註 本校学生以外の受講生を特別科目等履修生として受け入れる準備をしている。受け入れ予定数は5名前後となろう。また特別企画のワークショップであるから、受講料は科目等履修の対象科目料金よりやや割高である。検討中の金額は4日間で4-5万円の予定である。
授業内容と時間数
「初歩保育」 昨年度実績25回
「ピアノ」 昨年度実績25回
「文章表現」 昨年度実績13回
「ジョブ・ハンティング」 昨年度実績25回
@ 「初歩保育」および「ピアノ」は本年度も昨年度と同じ回数の授業を行う。
A 「文章表現」は25回に回数を増やす。
B 「ジョブ・ハンティング」は夏休み期間に集中特訓して欲しいとの希望が強いので、前向きに検討する。
教育職員免許法の改定に伴い、本校の学則の改定が必要になったため。
大学、短大等で習得した教免法に関わるいわゆる既修得科目の単位を本校の授業科目の履修により修得したものとみなす「単位読み替え」の措置を明確に記す必要がある。
在学年数に関わる内々の慣例を整備し、すべての学生が在学年数の延長の機会を厳正に享受できるよう、学則の当該項目の文言を整備する必要がある。
これまで小中高の学年編成と同じ形式で、学生生活指導を学年別(横割り)のクラス編成を行ってきたが、来年度からコース別の縦割りとする。すなわち2年生の保育士幼稚園コースA.B.C.の3クラスと保育士コース1クラスの下に保育士幼稚園コースと保育士コースの1年生を配置し、ホームルーム等の学生生活指導に関わる活動を1年生・2年生が合同でクラスを構成し活動を行う。
いろいろな危惧が想定されるが、多くの高等教育での学生指導やホームルームはこの形式で(すなわち1年生から2年生まで、またはゼミナールのように1年生から4年生まで合同の指導体制が多い)行われている。メリットは先輩が学校の伝統、教育体系、授業内容・実習についての情報やキャンパス・ライフに関する注意事項、試験の情報、出欠席と期末試験の情報、就職運動の仕方などについて1年生に的確に伝達される。
また2年生は1年生の関心の対象・手本となることから、責任ある発言や行動が求められ、自立性と指導力を高めていく。
これまでの議論の中で、「縦割りホームルーム」を導入した場合の負の要素を重く見て、縦割りは問題の多いクラス編成であり、学生指導の質が低下するという根強い意見があった。これまでは一人の教員が一つのホームルームを分担し、クラス内の学生の融合・協調を指導の中心においてきたきらいがある。そのため2年生と1年生の交流や教育文化の継承が滞りがちであった。
すべてを一気に改善することは不可能かもしれない。しかし多くの経験から結果が予想できるシステムであるから、細心の注意を払いつつ大胆に制度を運用したいと考える。以下は教員会で説明したときの資料である。
指導教員制度と指導内容
1. 学則・内規の説明
2. 出欠 遅刻、欠席の扱い、忌引き、事故
3. 授業の運営 シラバス、レポート
4. 履修の仕方の指導
5. 試験の対策とカンニングと停学
6. ミニュツ・ペーパ
7. 授業評価
8. TAの制度
9. ゼミナール
10. 禁煙
11. 服装
12. 髪型
13. 宿泊研修の説明、指導
14. 実習の意義、形式、時期、手続き
15. ソーシャル・スキル 履歴書の書き方、電話のかけ方、葉書の書き方、訪問の仕方
16. ノートのとり方、レポートの意義
17. 人と馴染めない学生、アドバイス・オフィスの仕事
18. 言葉使い
19. 健康管理
20. アルバイト
21. 交友
22. サークル活動の意義
23. 補習授業「初歩保育」、「国語表現」、「ピアノ」への出席と成績への連動
24. 経済状態
25. ボランティア活動
26. 就職活動の重要性、手続き・プロセス・勉強
27. 母校への挨拶と日本音楽学校を宣伝するお手伝い
28. 学校説明会やオープン・キャンパスの手伝い
29. ジョブ・ハンティング
30. 教養講座の意義
31. 模擬試験への挑戦
32. 保育研究発表会の意義と参加の仕方
資料1
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日本音楽学校学生指導・厚生補導関係スケジュール
■学生面接の進め方
教員は複数で面接する。
学生一人につき6分
グループ面接では、あらかじめ次のトピックスを提示し、学生に面接日までに用意させる。指導の能率を上げるために教員のメールボックスに回答を記入させなければまず時間内に終了しないだろう。余分なことを話さない。学生は事実のみを語るために、自分の考えを整理する。グループの学生は友人の発言から自分の考えを比較し、修正する。同時に自己評価を行う。他者から学び、同時に他者に材料を提供するのがグループ面接の特質である。
グループ面談の結果はすばやく整理され、分析され、学生全員に参考として配布される。
■質問事項
@ 就職の希望、 具体的な就職活動計画
A 一年次の学業成績に対する個人評価
B 就職先を開拓する方法、資料、メディア、自己学習課題と方法、指導希望内容
C 自己診断:学力、実習、ボランティア、保育技術、音楽技術、服装、エチケット、手紙の書き方、電話のかけ方、挨拶の仕方、面接の技術
■面接準備とスピード
1年生は2年生のグループ指導を見学する。見学者の前で、個人情報に関わるデータや知られたくない情報などを話題にしないために、あらかじめ学生がメールまたはブログで教員に伝えておくことが重要である。くどいようだが事前に学生と教員の連携が準備されていなければ、短時間で処理することは不可能である。
■面接の回数と学生数
4月 (2回) 2年生2回 グループ面接 8名
5月 (3回) 2年生2回、1年生1回 グループ面接 8名
6月 (4回) 2年生3回、1年生1回 グループ面接 8名
7月 (2回) 2年生1回、1年生1回 グループ面接 8名
4月から7月のスケジュール(ここでは就職指導を含めた面からまず記載する。)
4月 グループ面接
合宿研修
(ア) 学則・内規の説明
(イ) 出欠 遅刻、欠席の扱い、忌引き、事故
(ウ) 授業の運営 シラバス、レポート
(エ) 履修の仕方の指導
(オ) 試験の対策とカンニングと停学
(カ) ミニュツ・ペーパ
(キ) 授業評価
(ク) TAの制度
(ケ) ゼミナール
(コ) 禁煙
(サ) 服装
(シ) 髪型
(ス) 宿泊研修の説明、指導
(セ) 補習授業「初歩保育」、「国語表現」、「ピアノ」への出席と成績への連動
5月 ビデオ作品:「頑張れ、後輩!」
卒業生の体験談や励ましのメッセージを25分に編集する。5ないし6人の 卒業生の登場時間。教員がカメラを持っていって撮影してくる。
グループ面接
(ソ) 実習の意義、形式、時期、手続き
(タ) ソーシャル・スキル 履歴書の書き方、電話のかけ方、葉書の書き方、訪問の仕方
(チ) ノートのとり方、レポートの意義
6月 就職説明会・就職希望調査
グループ面接 + 個別面接
(ツ) 人と馴染めない学生、アドバイス・オフィスの仕事
(テ) 言葉使い
(ト) 健康管理
(ナ) アルバイト
(ニ) 交友
(ヌ) サークル活動の意義
(ネ) 補習授業「初歩保育」、「国語表現」、「ピアノ」への出席と成績への連動
(ノ) 経済状態
(ハ) ボランティア活動
7月 東京都教員採用試験、グループ面談
ジョブ・ハンティングや就職特別講座などを活用した直前支援を展開する。
グループ面接 + 個別面接
(ヒ) 就職活動の重要性、手続き・プロセス・勉強
(フ) 母校への挨拶と日本音楽学校を宣伝するお手伝い
(ヘ) 学校説明会やオープン・キャンパスの手伝い
(ホ) ジョブ・ハンティング
(マ) 教養講座の意義
(ミ) 模擬試験への挑戦
8月 東京都23区保育士採用試験
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資料2
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学生補導「厚生(Welfare)」と「補導(Guidance)」の意義
大学では、研究教育以外の、学生の支援・指導に関する業務(事務的なものを除く)、つまり学生相談、課外活動の指導、健康・厚生・福祉の指導と支援、就職指導、インターンシップ支援等について、従来の教職員以外の専門職員をおいて学生補導のための強力な体制をつくることが必要である。たとえば学生相談のカウンセラー、精神衛生のセラピスト、課外活動のリーダー、学生会館や学寮の管理者などはいずれもその専門的知識と経験をもつものが必要である。
高等教育では「厚生(Welfare)」と「補導(Guidance)」が教員と事務員の連携の下で行われている。教員の仕事が教育と「研究」の二つになることから、多くの部分を専門事務員が担当する。本校では教員や事務員の充実を目指しているが、まだ十分ではないから試行錯誤重ねながら改善する必要がある。 |
資料3
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クラス担任制 駒沢大学の場合
縦割りクラス指導を採用している駒澤大学の例が以下のように紹介されています。 「本学では、クラス担任制を導入し、きめ細かい緻密な指導を行っています。一人の教員が各年次数名の学生を担当して、各科目の学習状況を電子カルテにより把握し、修了まで総合的に指導する制度です。
また、クラス担任制により、年次を超えた学生同士の交流も生まれます。クラス担任制は、学生同士、学生・教員間の連帯感を高める効果も併せ持っています。」
*駒沢大学 法科大学院ホームページ、「学習支援」より引用させていただきました。
http://www.komazawa-u.ac.jp/~hoka/kc/shien.html
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資料4
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学生指導・学生サービスの外部委託
多くの大学ではスタッフ・ディベロップメント (SD)、 すなわち大学スタッフのプロフェッショナル化が真剣に取り組まれつつあります。なかには、 学生指導の外部委託や学生サービスの外部委託を検討している大学もあるといわれています。 本校の動きを見ていても、 SDの必要性が感じられます。 たとえば「幼児教育実践総合センター」や「学生アドバイス・オフィス」などを発足させ、教員が兼務で運営に当たっているが、事務員の支援が欠かせません。事務員が専門的な研修を受けて新しい資質をもつことが必要です。もしそれができない場合は外部に委託せざるを得なくなるでしょう。
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資料5
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2001年から現在までのリフォーム
ミニュツ・ペーパ
学生による授業評価
研究紀要の再刊
ティーチング・アシスタントの制度
幼児教育実践センターと子育て支援としての「親子サロン」
禁煙文化の導入
同窓会幼児教育部会の創設
同窓会からの教育支援
教材開発1(紙芝居と身長計)
教材開発2(DVD 幼児ダンスと体操)
セラピー科目の導入
学生アドバイス・オフィス
AO入試の導入
セメスター実習の導入
公開講座
補習授業
ジョブ・ハンティングの開講
自己点検評価「教育部門」の序章
科目等履修制度
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→日本音楽学校の the second
教育リフォーム 2005年(平成17年度)のEducation Reform
→[日本音楽学校の2001年と2002年 その軌跡と成果、そして今後の取り組み課題]
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