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平成20年度/宿泊研修旅行報告 |
宿泊研修を終えて 宿泊研修運営会 富岡 麻由子 |
宿泊研修の目指すもの 4月24日(木)・25日(金)の両日、山梨県南都留郡富士河口湖町・セミナーホテル「レイクホテル 西湖」において、1年生対象の宿泊研修が行われた。 宿泊研修では、@都会ではあまり体験できない自然に触れる活動を通して、自然に親しみをもつ。A学生が自ら計画を立て、クラスメイトと工夫し合いながら体験活動をすることで、自主性と協調性を養うきっかけをつくる。Bクラスメイトと学習活動や寝食を共にし交流を深めながら、宿泊研修を楽しむ。 という3つの目的を掲げている。 宿泊研修の特徴、すなわち研修内容は、キャンプファイヤー(雨天の際はキャンドルファイヤー)、ほうとう作りである。新しい試みで始まった宿泊研修も今年度で4回目を数える。 まだ入学して間もない4月、雄大な自然の中で研修を行い、クラスメイトと火を囲み、有意義な時間を共有することは、互いのことを理解し、これからの学生生活を共に送るうえでの土台作りになるといえる。 以前行った調査では、学生の宿泊研修に対する満足度は高く、経験がその後の学習や実践に活きていることも、学生にとって大きなメリットになっているといえる。 キャンプファイヤーを行うためには、事前の計画や練習が必要である。実施直前の通し練習から流れを把握し改善点を見つける。場所を下見し、環境に見合った活動を構成するなど、企画・運営の一連のプロセスが含まれている。そして、キャンプファイヤー実施後には、考察・評価を行う。そこには自分たちの活動を客観的に観る分析力や、今後の活動に繋がる建設的な発想力が求められる。 特に、今年度は雨天のため当日にキャンドルファイヤーに変更になり、体育館の中という、事前の予想とは異なる環境で行うこととなった。それにより計画の変更や留意点の確認を新たに行うという対応力が試された。 また、パワーポイントによる活動内容と評価の発表では、話し合いの内容をまとめ、他者にわかりやすく説明するためのプレゼンテーション能力が必要となる。 そして、山梨県の郷土料理であるほうとう作りは、地域固有の文化を理解する体験となる。 このふたつの研修は、ともにグループメンバー相互の協力が不可欠であり、同時に活動自体の楽しさがる。これらの理由から、研修としてキャンプファイヤーとほうとう作りを行っている。 もうひとつ、この宿泊研修の大きな特徴は、「宿泊研修サポーター」として2年生を起用している点である。サポーターは、学生への諸連絡、主な司会運行をすべて行っている。研修内容の指導もその役割であるが、サポーターの指導は、教員のそれとは異なる形で浸透していくように思える。より助言という形で受け止められ、学生の自主性が発揮されるのである。またその姿は、1年生にとって身近な目標となる。 準備に終われる3月から、4月の1年生に対するデモンストレーションや助言、そして、宿泊研修を通して、サポーターの2年生の大きな成長には、本当に目を見張るものがある。悩み、試行錯誤し、言葉を選びながら1年生に思いを伝えている姿には、強い自覚とリーダーシップが感じられる。サポーターには負担が大きい部分もあるが、その分彼らはやりがいを強く感じている。学生相互に学びのある制度であると考える。 20年度 宿泊研修の記録 25日日朝、新宿に集合。 バスで「レイクホテル 西湖」に向かう。途中談合坂のパーキングエリアで休憩する。 ホテル到着後、体育館にてサポーターの司会による開会式を行った。 1年生による開会宣言や日程確認を行う。 朝の東京の天気は曇りであったが、西湖に到着後、開会式の途中には、あいにくの雨となった。 終了後に体育館全体での記念撮影を行った。 昼食・休憩後に研修1を行う。 研修1の活動は、保育着チェック、キャンプファイヤーの通し練習、リハーサルをふまえてのディスカッションである。 今回は雨天のため室内でのキャンドルファイヤーとなった。学生から落胆の声も上がったが、キャンプファイヤーと流れは変わらない。それぞれが気をとりなおし、キャンドルファイヤーの特徴を意識しながらリハーサルに集中していくことが必要になる。 まず最初に保育着チェックを行う。保育着チェックとは、保育時に適切だと各自が考える服装を用意し、研修時にその服装のチェックを学生同士で行う活動である。動きやすさや安全性を考慮しながら、お互いの服装を見あい指摘しあうことで、多くの気づきがあったようである。 その後、通し練習ではサポーターの司会に沿って、各班が準備してきた出し物(手あそび・ゲーム・劇あそび・歌・ダンス)を行う。キャンプファイヤーの流れを確認し、改善点を見つけていく。元気あふれる出し物で大きな笑いをとる姿、輪の大きさや声の通りなど、予想しなかった展開に戸惑う姿が見られた。 通し練習後、各グループごとに話し合いがもたれる。話し合いの内容をまとめ、全体で発表しあい、ディスカッションする。ここでは、別のグループの出し物に対する感想や指摘も出された。参加する側としての意見を聞くことができたこと、他のグループのよいところを取り入れることは、よりよい発表をするための大切なヒントになるだろう。 また、サポーターからは1年生にとってためになる助言がたくさん出された。去年の経験から、また司会として客観的な視点から出し物に対する意見を述べるサポーターに、1年生は熱心に聞き入っていた。 その後は再度各グループで集まり、計画の修正や練習を行う時間とした。研修1が終了し、自由時間になっても話し合いを続ける熱心な姿があった。 休憩後、夕食となる。楽しく会話を交わしながら、和やかな雰囲気のなかでの食事となった。 |
レイクホテル 西湖 西湖のほとり 事前準備 サポーター キャンドルファイヤー 開会式 保育着チェック リハーサル グループの話し合い 全体でのディスカッション サポーターのアドバイス 終了後に続く話し合い |
夕食後、いよいよ研修2のキャンドルファイヤーである。 キャンドルファイヤーは第1部から第3部に分かれている。第1部では静かな気持ちで火の神を迎え、これからのひとときをともに楽しく過ごすことを誓い、歌やダンスで徐々に盛り上がっていく。第2部では学生たちによる出し物を行う。そして第3部は小さくなる炎とともに、自然や人々に感謝し、未来への希望をそれぞれが感じながら静かに終わる。 体育館に集合し、サポーターのろうそくに火が灯される。一人ひとりが順番にその火をもらい受ける。サポーターの歌から入場が始まり、ファイヤーの周りを囲む人の輪が作られた。 サポーターの司会でキャンドルファイヤーの第1部が始まる。大きな輪になり、歌を歌った。火の神がたいまつを持って入場。中心にある井桁に火を付けた。 サポーターのリードのもと、キャンドルを取り囲み、歌い、手をつなぎ、大いに盛り上がった。歌声も大きく、たくさんの笑い声が響いた。 1年生の誓いの言葉に、気持ちが膨らんでいることがそれぞれの表情からわかる。 2部は、各班が担当する「出し物」の披露であった。簡単な手あそび、ゲーム、劇あそびを、6つのグループがが行なう。 各グループの出し物は、皆で楽しく行えるように、導入からさまざまな声かけ、動きに工夫を凝らしている。研修1の通し練習の時とは違った内容の班もあり、短い間に話し合い、改善してきたことが伺えた。事前の準備を熱心に行ったことで、自信をもって、リードしている姿はとても頼もしい。 事前の練習や、研修1のリハーサルで一度皆が経験した内容を行なっても、環境が変わることによりまた違った雰囲気や状況が生まれること、、逆に内容を知っていることにより楽しめるということを体験しであろう。エキサイティングに進行していったが、同時に、皆で楽しもうという気持ちが伝わる、暖かな第2部であった。 3部は、1年生の代表者がこれからの学生生活に対する思いを語る。徐々に小さくなる火を眺めながら静かに歌を歌い、終了した。 キャンプファイヤー終了後、研修3が行われた。研修3では、各班ごとに研修記録を作成する。ここでは各グループが計画と実際を比較し、考察を行うことが求められる。また、翌日の研修報告会(研修4)の発表原稿の作成が含まれる。 それぞれが意見を出し合い、有意義な話し合いを進めていた。上気した顔には疲れが見えるが、頭を抱えつつも真剣に取り組んでいる。規定の時間終了後も、話し合いを続けるグループも多かった。 その後、入浴、就寝となる。 2日目の朝、眠い目を擦りながら朝食をとる。 研修4では、前夜の研修3のなかで苦労して作成した発表原稿を基に、各班が発表を行う。パワーポイントを使って、前夜の研修3でまとめた内容を発表し、質問や感想が述べられることになる。 各班が、出し物の準備、実践をとおして気づいたこと、考察したことを発表し、いくつか感想などが出された。 子どもたちと活動を行うときにどのようなことに気をつけるか、計画を立てリードする立場では何が大切かなど、各々が出し物についての理解を深めていた。 また、うまくいったこと、楽しめたことに対する喜びや、失敗や練習不足に対する後悔を率直に語っていた。これらは、学生の資質を育て、将来につながる経験になるだろうと強く感じた。 しかし、気恥ずかしさのためか、班内で活発になされたような話し合いは全体では多くなされず、大勢の前で自ら積極的に意見を述べることには課題が残った。今後の学校生活の中で、非確定大きな集団のなかで意見を交換し、そこから新しく気づくことができるような機会をもつことでの変容が期待される。 研修の最後は、山梨県の郷土料理であるほうとう作り体験であった。最初に地元の方から教授を受け、ほうとう打ちの実践。真剣なまなざしでデモンストレーションに見入っている。そして調理。学校の授業さながらの展開であった。たくさんの野菜と一緒にぐつぐつと煮込んだ、おいしいほうとうが完成した。隣の班のほうとうと食べ比べるなど、楽しいひと時を過ごした。すべて片づけを行い、終了する。 体育館で閉会式を行う。1年生の感想、サポーターからの言葉、謝辞などが述べられた。閉会式終了後、しばしの間西湖のほとりで散策を楽しみ、全員で写真を撮影する。その後バスは帰路へ。 宿泊研修全体を通して、熱心に取り組み、静かに聞き入り、最後まで自主的な態度と楽しむ気持ちをもって、終えることができたと感じる。楽しく充実した2日間がよい思い出になることを、そしてこの体験によって、ぞれぞれの心に膨らんだ今後への期待や意欲が、学生生活に繋がっていくことを期待する。 (Tomioka,Mayuko) |
キャンドルを灯す 入場 キャンドル 誓いのことば 代表者のことば 研修記録作成 研修報告会 教員からの講評 ほうとう 閉会式 宿泊研修を終えて |
サポーターの感想 宿泊研修を終えて 保育士・幼稚園コースコース2年 伊藤 翠 宿泊研修を終えて、私が一番感じたのは、様々な計画、企画を元に行事ごとが成り立っているということでした。去年は1年生として参加し、先生方やサポーターの先輩に誘導され動いているという感じでしたが、今年は私自身がサポートをする側です。正直「私がやって大丈夫なのだろうか」という不安な気持ちを抱いたまま参加することになりました。やはり、誰かをサポートするということは難しく、説明するにも、誘導するにも事前に自分が理解していないと相手には伝わらないし、場が盛り上がりません。練習や計画、企画がとても重要だということが身に染みてわかりました。 また、キャンプファイヤーの実践など、宿泊研修には実際の現場でも知っておいた方が良いことが沢山あると思います。保育者を目指してこの学校に入学して、サポートという経験ができて、とても良かったと感じました。 去年とは違った目線で臨んだ「宿泊研修」は、私にとってとても楽しく発見のある研修旅行でした。 一年生の皆様にとっても心に残る充実な宿泊研修になってくれたのなら幸いです。 宿泊研修の感想 保育士・幼稚園コース2年 酒井 優 今回僕は、1年生の宿泊研修にサポーターとして参加させていただきました。サポーターに選んでいただいたことはとても嬉しかったのですが、正直「僕なんかがサポーターでいいのか」、「サポーターとして1年生のために何ができるのだろう」などの不安がありました。去年のサポーターの先輩方がとても素晴らしい活躍をされていたので、余計にプレッシャーを感じていましたが、サポーターとしての覚悟を決め、日音での1年間の経験を活かし、全力で一年生をサポートしようと思いました。 当日はキャンドルファイヤーになりましたが、1年生の楽しそうな表情や、翌日の研修報告会では素晴らしい発表があり、充実した研修ができたのではないかと思いました。僕自身もサポーターとして宿泊研修に参加したことで、事前準備の重要性や、当日キャンドルファイヤーに変更になったという点で、「臨機応変な柔らかい対応」がサポートする側の人間には必要なのだと実感することができました。 今回の宿泊研修で、1年生もサポーターも、保育者を目指すものとして大きな成長を遂げたと確信しています。宿泊研修での経験を、ぜひ今後の学校生活、実習などで活かしてもらいたいと思います。 |
タイムスケジュール
24日(木)初日
時 |
活動 |
8:20 8:40 11:30 11:40 15:30 17:00 18:00 19:45 21:00 23:00 |
新宿駅西口付近集合 出発 ホテル到着 開会式 休憩(入浴) 夕食 研修2(キャンドルファイヤー) 研修3(研修記録作成) 就寝準備(休憩、入浴) 就寝 |
25日(金)二日目
時 |
活動 |
6:30 7:00 8:30 9:30 11:30 12:15 12:45 13:15 14:00 17:00 |
起床 朝食、荷物積み込み 研修4(研修報告会) 研修5(ほうとうづくり) 昼食 閉会式 ホテル出発 河口湖畔散策 出発 新宿駅西口付近到着 |
日本音楽学校 〒142-0042 東京都品川区豊町2-16-12 電話:03-3786-1711 / FAX:03-3786-1717 / E-Mail:[email protected] (C)学校法人 三浦学園 |